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第8回「全国栄養経営士のつどい」開催
全国から栄養経営士が東京に集結!

発表者の熱い思いと参加者の熱意で
会場が一体になった全国大会(2)

第8回「全国栄養経営士のつどい」東京大会は2024年3月9日(土)に秋葉原UDX RoomD(東京都千代田区)で行われた。今大会は現地会場メインで開催し、会場参加者たちは登壇者の発表に真摯に聞き入っていた。

   

被災地の状況から万一に必要な備えを知る

午後からは「令和6年能登半島地震の経験から栄養経営士へ伝えたいこと」と題し、本協会の吉田貞夫副代表理事と、富山大学附属病院栄養部副部長・栄養管理室長の甲村亮二北陸支部理事が登壇した。

はじめに、吉田理事が沖縄のJMAT(日本医師会災害医療チーム)で能登半島に派遣されたときの様子を多数の写真とともに紹介した。各県から派遣されたチームと引継ぎを行いながら、限られた医療資材と不便な環境で患者や被災者と向き合ったという話は、経験者だから語れる貴重な内容であった。

次に、甲村理事が「能登半島沖地震における対応について」という題で発表した。災害対策に力を入れていたという名古屋出身の甲村理事は、富山大学付属病院に着任後、災害対策の見直しを実施。備蓄食料の種類や備蓄場所・保管方法等で実際に行っている対策を説明した。

発表の後半では、実際に地震が起きた際に病院でどう対応したのかを紹介した。被害は大きくなかったものの情報の混乱があり、元日という一番情報が得にくい日で苦労したと話した。現在は被災患者の受け入れを行っており、後方支援も重要な災害援助活動で、そのための体制づくりも重要であると説いた。

その後は吉田理事が聞き手となり、甲村理事と対談形式で震災とその対応について語りあった。

震災後初期には、状況を把握していないために行政が必要な支援を断ってしまったり、管理栄養士で派遣されたのに食事の温めくらいしかできなかったりと、情報収集・情報伝達がうまくいっていないケースが散見されたという。震災時にどういった情報をどこに伝えるのか、有事を見越して準備しておくことがいかに重要かわかる対談であった。

吉田貞夫副代表理事(左)と甲村亮二北陸支部理事
講演後に対談を行った吉田貞夫副代表理事(左)と甲村亮二北陸支部理事

   

医療経営士が語る
「病院事務長が管理栄養士に期待する役割」

プログラムの最後は宮澤代表理事が座長となり、医療経営士をゲストに迎えて「栄養経営士と医療経営士が語る 病院経営における栄養部門の役割」と題した座談会を行った。

参加したのは医療法人岩切病院事務長で医療経営士2級の佐藤林太郎氏、社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス海老名総合病院医療技術部栄養科科長代理で栄養経営士の齊藤大蔵氏、本協会の田中智美理事の3名で、宮澤代表理事からの投げかけに対し、それぞれ自院の状況や取り組みを説明した。

はじめに、宮澤代表理事が佐藤氏に病院の経営部門として、事務長として、また医療経営士として栄養部門をどう見ているのかを質問した。佐藤氏は「改定のたびに管理栄養士の役割がどんどん重要視されている。医療経営士としては、管理栄養士にはそのあたりをしっかり対応して欲しいと思う。また、当院は慢性期なので、透析の予防やリハなどについた管理栄養士が絡む加算をしっかり取って欲しいというのが経営側としての感想。事務長としては、当院の管理栄養士は2名と少ないが、他職種と一番関わる部門なので、経営を考える上でよく意見を聞いている」と回答した。

医療経営士の佐藤林太郎氏(左)と栄養経営士の齊藤大蔵氏
医療経営士として語る佐藤林太郎氏(左)と栄養経営士の齊藤大蔵氏

座談会後半では給食費のコストについて語った。委託先からの値上げ要求があったかどうかの問いに田中理事は「診療報酬で上がる分と合わせた感じで値上げの要求があったが、一つひとつ確認して、これはと思うところは指摘して、事務長に提出する前に一度差し戻しになった」と回答し「今後は企業とコラボしながら、余った食材を活用してコストを下げられないかといった検討をしている」と伝えた。

齊藤氏の病院はセントラルキッチンからトレイメイクされた状態で運ばれるため配送料が上乗せになるが「参画病院の増加や積載量の大きなトラックへの変更等で上げ幅を圧縮した」と説明した。

佐藤氏は「個人的に付き合いのある農家さんから米を直接納品してもらう等、地元食材を使い、直営ならではの方法でできる限りコストを下げている」と自院での取り組みを紹介した。

座長の宮澤代表理事(右)と田中智美理事
座長を務めた宮澤代表理事(右)と田中智美理事

会場からは「骨なしの魚を骨付きに変える、高騰した魚を輸入の白身魚に変える、地元企業の豆腐を冷凍の厚揚げに変える等で対応している。患者から苦情が来たら戻そうと思うが、まだ来ていない」といった声もあがった。

座談会終了後は、吉田副代表理事が閉会のあいさつを行い、次回も多くの参加者・発表者が集まることを願って今回の「つどい」が終了した。

閉会のあいさつをする吉田副代表理事
閉会のあいさつをする吉田副代表理事

終了後はしばらく会場を交流の場として活用いただき、あちこちで参加者同士、なかなか会えない理事の先生方との談笑が聞こえていた。次回はより多くの発表者・参加者とお会いし、交流できることを期待している。


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