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第14回日本臨床栄養代謝学会首都圏支部学術集会レポート(2) | 2023年6月
多職種連携のチーム医療の一翼を担い
より良い栄養サポートを実現しよう
5月27日(土)に宮澤靖代表理事が大会長を務めた「第14回日本臨床栄養代謝学会首都圏支部学術集会」が開催された。大会テーマは「連携の先にみえるもの─戮力協心の栄養サポート─」。東京駅直結のステーションコンファレンス東京という好立地で行われ、約650人が参加、栄養経営士5人が発表者として演題に立った。
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「今日と同じ明日は来ない」 悔いのない栄養管理を
午後からはランチョンセミナー1で宮澤靖代表理事が「院内唯一の栄養専門職として患者ファーストを貫く|食材費高騰と経腸栄養合併症を考える|」のテーマで講演を行った。食材費や光熱費が高騰し、病院給食は窮地に追い込まれているが、「経腸栄養剤は値段で選ばず、組成など内容で選ぶべき。患者にあったものを選べば、下痢・便秘の発生率や抗菌剤の使用量が減り、トータルコストを減らすことができる」と訴えた。コスト安など栄養部門だけのメリットを考えるのではなく、施設全体にとって最適なのは何かを考えて動く重要性を説き、最後に「今日と同じ明日は来ない。これを頭に置いて明日からの業務に励んで欲しい」との言葉を残して講演を締めくくった。
その後の一般演題5では、村田里佳さん( 公立昭和病院栄養科)が登壇し、「病棟栄養カンファレンス~スクリーニング項目改定前後での比較~」を発表した。栄養カンファレンスにおけるスクリーニング項目を見直し、それにより栄養介入が必要な患者の抽出が改善したかの検証を行い、その結果を報告。栄養介入までの時間が短縮でき、カンファレンス7日後の栄養充足率も増加傾向にあると語った。スクリーニング項目の選定時に現場からの声があったかという質問に対しては「看護師からわかりづらいという指摘があり、食事の摂取量等、一見してわかるものにし、時間がかかるものや新しく作業が発生するものは省いた」と回答、無理のない協力体制で結果を出していることを伝えた。
また、同じ一般演題5で千葉枝里子さん(東京医科大学病院栄養管理科)が「脳神経外科病棟における病棟常駐型栄養サポートの実践~脳腫瘍術後の経口摂取につなげた1例~」の演題で発表した。病棟常駐型のチーム医療で多職種による情報共有と栄養サポートを実践した結果、患者の経口摂取とリハビリの継続につながったという。カンファレンスでは時間がかかるような症例も「現場で2,3言交わすだけで多職種で目標と進捗の共有ができ、迅速に介入できた」というのは、全員が日々患者と接している病棟常駐型のチーム医療ならではだろう。
その他のプログラムとして、佐々木淳氏(医療法人社団悠翔会理事長)による教育講演「在宅医療における食支援の重要性」や、『NMEニュース』3月号でご紹介した松本尚衆議院議員(日本医科大学特任教授)による特別講演「医療者にも必要な財政金融政策の知識」なども行われた。最後はふたたび宮澤代表理事が登壇して閉会のあいさつを行い、多数の参加者への謝辞を述べ、大盛況のうちにJSPEN首都圏支部学術集会は閉幕した。