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栄養経営士の現場クローズアップシリーズ

Vol.2 医療法人松田会

複数の栄養経営士が在籍し、連携しながら働く病院・施設などが増えてきました。そんな職場で働く栄養経営士たちをピックアップし紹介するのがこの「栄養経営士の現場クローズアップシリーズ」です。

今回は医療法人松田会に所属する、栄養課係長の鈴木奈緒子さんと栄養課主任の鈴木美香さんにお話をうかがいました。

医療経営士×栄養経営士の相乗効果で経営改善に貢献

鈴木奈緒子さん
鈴木奈緒子さん
鈴木美香さん
鈴木美香さん

1982年の松田病院開設以来、救急医療と高齢者医療を軸として地域住民の健康を支えてきた医療法人松田会。高齢化の進展に伴って多様化するニーズに対応し、現在は2つの病院と6つの診療所、3つの介護老人保健施設、17の介護保険事業所を展開しています。

同法人の栄養課に在籍するのが、栄養課係長の鈴木奈緒子さんと同課主任の鈴木美香さんの2名の栄養経営士です。同課には病院や老健、託児所など担当別に計7名の管理栄養士が所属、給食は全面委託であるため委託会社との調整から、各施設内の栄養管理まで多岐にわたる業務を行っています。鈴木奈緒子さんは急性期から回復期までの医療を担う松田病院、鈴木美香さんは認知症患者を対象としたエバーグリーン病院に勤務されています。

二人が栄養経営士を取得したきっかけは、同法人の事務次長であり、医療経営士(一般社団法人日本医療経営実践協会認定)の資格を持つ佐竹直也さんから紹介されたことでした。

「経営という視点で栄養課の運営や栄養管理を進めていくことについては、時代の流れとともにその必要性を感じていました。事務次長から資格を教えてもらい、代表理事である宮澤靖先生のことは以前から知っていましたし、宮澤先生の考え方などをしっかりと勉強して自分たちの病院にも生かしたいと思い、取得を決めました」(鈴木奈緒子さん)

同法人では佐竹事務次長のほか3名の医療経営士が在籍しており、医療経営士と栄養経営士が医療経営士の東北支部研究会にも一緒に参加。そこで学んだ自院の強み・弱みを把握するためのSWOT分析を参加したメンバーで実際にやってみたこともあるそうです。資格を紹介した佐竹事務次長は「専門職が経営視点を持ってくれると非常に心強い。当法人にとって栄養課は強みとなっていますし、これからも互いに協力しながら課題解決や経営改善に取り組みたいと思っています」と話します。一丸となって病院経営に貢献する体制ができていることが、モチベーションの向上にもつながっているようです。

同じ法人内に栄養経営士がいるということで、業務においてもメリットを感じているというお二人は、お互いの存在に助けられていると話します。

「管理栄養士がたった一人で、栄養部門の経営や運用について改善や調整を行っていくというのはとても大変なことです。同じ栄養経営士という視点で各施設の栄養部門の課題について共有し、相談し合える仲間がいるということはとても心強いと思っています」(鈴木美香さん)。

「普段の業務はもちろんですし、一緒に勉強会などにも参加することで、同じ方向を向いて、共通認識を持って仕事に臨むことができており美香主任には本当に感謝しています」(鈴木奈緒子さん)。

さらなるレベルアップを通して病院経営に貢献

この4月から施行されている2020年度診療報酬改定については、新設された「栄養情報提供加算」に注目しているという鈴木奈緒子さん。管理栄養士が単独で取れる加算でもあり、栄養サマリの情報提供という点を評価してもらったということが嬉しいと話します。

「これまでも他院、他施設に転院される際には情報提供書を作成して送ってはいましたが、特に加算があるわけでもなかったですし、自分たちが患者さんの転院や退院を把握できておらずに情報提供がもれてしまうこともありました。今回加算がついたということで、改めて患者さんのためにもしっかり情報をつないでいくという意識を持つことが重要だと思っています。きちんと情報を共有できることで、誤嚥性肺炎のリスクを下げ、再入院の防止にもつながります」(鈴木奈緒子さん)

また「外来栄養食事指導料」「在宅患者訪問栄養食事指導」の要件が見直されるなど、今回の改定では在宅分野においても栄養部門にとって動きがありました。活動のフィールドが拡大していることを実感していると話す鈴木奈緒子さんは「在宅患者へのサポートをしっかりやるためにも、きちんと食べられているのかを把握するなど、他職種とも連携しながらきちんと対応できる体制を整えていきたい」と今後の目標を語ります。

「当法人は急性期から在宅まで一貫してサービスが提供できるという強みがあります。それぞれのフィールドで管理栄養士が食・栄養の力でサポートし、地域の方が安心して住み続けられるように貢献していきたいです。地域での横のつながりも増やしながら、いいところを吸収しながらスキルアップしていきたいです」(鈴木奈緒子さん)。

「食・栄養の力で人に幸せだと思っていただきたい、という想いでこれまでも取り組んできました。せっかく栄養経営士の資格を取ったので、資格を生かして病院のために役立てることが何かないか、常に考えながら仕事をしていきたいと思っています」(鈴木美香さん) 

栄養経営士同士、また医療経営士も加わっての相乗効果は、病院経営においても確実に成果が出てきています。この動きが今後どのように広がっていくのかが楽しみです。

松田会
医療法人松田会の栄養経営士と医療経営士のメンバー

【病院概要】

医療法人松田会 松田病院

宮城県仙台市泉区実沢字立田屋敷17-1

022-378-5666

URL http://www.matsuda-hp.com/

病床数:一般77床(うち地域包括ケア28床)、回復期リハビリ48床

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