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管理栄養士のための基礎医学講座~CKD&肝硬変編~ | 2024年7
栄養管理がカギとなる腎・肝臓疾患を基礎から講義
日本栄養経営実践協会九州支部は7月27日(土)、「CKD(ChronicKidney Disease:慢性腎臓病)&肝硬変」をテーマとした「管理栄養士のための基礎医学講座」を開催しました。この講座は、管理栄養士が業務を行う上で必要な基礎的医学の知識習得を目的としており、年に2回開催しています。講師は北九州宗像病院の医師である三浦公志郎氏が務め、現地会場とライブ配信のハイブリッドで行いました。
腎・肝臓疾患によって変化する栄養状態を振り返る
基礎医学講座では各疾病のガイドランをベースにしており、今回もCKD、肝硬変ともにガイドラインに沿った講義を行いました。最新のガイドラインを元にした基礎的な内容は、受講生から「なんとなく理解していた情報を整理することができた」と毎回好評となっています。
三浦氏は午前中にCKD、午後に肝硬変を中心に講義を行いました。まず腎臓の解剖と生理機能、慢性腎不全とCKDの基礎的な部分を説明しました。さらに理解の助けとして、三浦氏の私見と前置きしながら、数多くある腎疾患を主な分類として、CKD/腎不全、ネフローゼ症候群、腎炎症候群の3つに分けました。
腎臓と肝臓に関連 腎症候群について紹介
CKD/腎不全になりやすいものとして、糖尿病性腎症、IgA腎症、痛風腎ループス腎炎をあげました。ループス腎炎は、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスの合併症のことです。
また、栄養管理において必要な、腎機能低下によって血液中の栄養がどのように増減するのかについてまとめ、詳しく説明しました。
午後の肝硬変では、まず肝臓に関する血液検査について整理し、肝臓に関係している逸脱酵素を中心に説明しました。次に肝硬変の原因となるウイルス性肝炎、慢性肝炎などについて解説しました。現状、肝硬変の原因はC型が最多ですが、最近増加しているNASHについても改めて紹介しました。NASHは非可逆性ですが、その手前の飲酒・食事に関連のあるNAFLDの状態であれば可逆性なので、栄養管理が大事と伝えました。
今回は、腎臓と肝臓に関連する疾患である肝腎症候群についても言及しました。三浦氏は、診断基準として以下の6点を挙げました。
- 腹水を伴う肝硬変である
- 血清クレアチニン値が1.5 mg/dLを超える
- 少なくとも2日以上の利尿剤の中止と、アルブミンによる容量負荷によっても血清クレアチニン値が改善しない(このときのアルブミン投与量は1g/kg/日が推奨される)
- ショック状態ではない
- 現在あるいは最近、腎毒性薬が使用されていない
- 腎実質障害が認められず、尿蛋白(500mg/日)、顕微鏡的血尿(50/hpf以上)、および超音波検査における腎の異常を腎実質障害とする
肝腎症候群は、そうでない肝硬変に比べて予後不良となっており、基準を把握しておくことが必要です。
講義の残り30分間は質問タイムとし、受講生から多くの質問があがりました。「患者さんの対応で、多職種間のコメディカル同士の価値観の差が生じるときは、どのように対応すればよいか?」という問いに対して、三浦氏は「院内で医師を中心に意向や今までの経験則が固まっているかもしれない。私が管理栄養士だったら、やはりガイドラインからエビデンスを示すと思う」と答えました。
受講生からは「私たち目線で進めていただき、わかりやすい。病棟でのカンファレンスや、患者様との関わりにちょっと自信が持てた」と、日々の業務の自信につながっているようでした。
九州支部では、今後も管理栄養士に向けての基礎医学講座を年2回のペースで実施していく予定です。基礎医学を学びたいという方、関心のある方、ぜひご参加ください!