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栄養経営士活動報告 02

佐賀県産の食材を100%使用し
見た目にも美味しい盛り付けでグランプリを獲得!

牛島圭太さん

地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館 栄養管理部

牛島圭太


第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会で行われた「第1回患者さんのための見た目にも美味しい病院食コンテスト」の「クックチル・ニュークックチル部門」で、佐賀県医療センター好生館の「さがランチ」がグランプリを受賞、同院の栄養管理部に所属する栄養経営士の牛島圭太さんが代表で表彰台にあがった。コンテストは患者さんのために「美味しく」「栄養バランスが良く」「見栄えも良い」優れた病院食というテーマの元、111病院が応募した。

「病院食のイメージを覆したい」と
地元の洋食レストランのシェフと共同開発

グランプリのメニューは豚肉の低温蒸し、オニオンスープ、春野菜サラダ、十三穀物ご飯、みかんゼリーで、食材は肥前さくらポークなど全て佐賀県産を使用している。見た目、栄養バランス、食べやすさなどが審査され、「地元の食材をふんだんに使用したことや、見栄えの良さ」など総合的な評価を得た。

好生館は佐賀県の中核医療機関として33診療科を有する3次救急病院で、栄養管理部は管理栄養士が15名、調理師が20名という体制。直営での給食業務(一部委託あり)を行い、1日約1000食をクックチル・クックフリーズで提供を行う。

「さがランチ」は「病院食の枠を超えた地産地消メニュー」として、2016年より取り組んできた。きっかけは、同院で患者や地域住民に食や健康の情報を発信する「佐賀県の食と健康」という情報サイトを立ち上げたこと。一般的な栄養情報だけでなく、食事を通して発信できることはないか検討し、つくられたのが「さがランチ」だった。

制限が必要な患者さんでも楽しめ、栄養のバランスが良く、安全な病院食でありながら、レストランのような食事の提供を目指し、地元洋食レストランのシェフとレシピを共同開発した。開発時のポイントとして、①一度に大量の食事を提供すること、②佐賀の食材を使い、素材を活かしたシンプルかつ見た目が華やかな料理、③好生館の厨房設備を活かした調理盛付方法等、を重視した。大量調理での提供を可能とするため、病院の栄養管理部とシェフとで何度も試作を重ね、本格的な洋食メニューを提供している。

好生館の調理システム
好生館で行っているクックチル・クックフリーズを使った調理システム

直売所を活用し食材コスト抑え提供
患者からは次回提供日の問い合わせも

食材はJAさがの直売所から仕入れた、佐賀県産で新鮮な旬の食材を使用。肉は真空低温調理を利用して、軟らかくおいしく仕上げている。いわゆる常食だけでなく、塩分やタンパク質などを調整した治療食としても提供し、多くの患者に提供が行われている。

調理工程が通常よりも複雑であるため、誰もが調理盛付しやすいよう、写真付きのマニュアルを作成し、講習会を実施。盛り付けの再現性を高めるため、提供しやすい形に見直しも行っている。また、コストについても直売所から仕入れることで、普段の給食+αの範囲におさまっている。

定食スタイルの「さがランチ」の他にも、地元の野菜を作ったカレーメニューもあり、それぞれ月に1回ずつ提供している。

JSPENで出品した「さがランチ」
クックチル・ニュークックチル部門でグランプリを獲った実際のメニュー

患者からは多くの反響があり、「レストランの料理みたいにおいしい」「食事の時間が楽しみ」と好評。「さがランチはいつ出ますか」といった問い合わせもくるようになったという。また、今回の受賞により地元の新聞社からの取材も受けた。

牛島さんは「途中で『さがランチ』の継続は難しいのではという話も出ましたが、患者さんの楽しみとなっているため、継続できるように工夫を重ねてきました。今回のような評価を受けたことで、調理担当者にとっても励みにもなっています」と語る。

現在はWebサイトだけでなく、InstagramなどSNSも活用し、「さがランチ」を同院の魅力のひとつとして発信している。

そんな牛島さんは、今後は栄養経営士として、後輩の教育にも携わっていきたいという。

「中間的な立場としての役割を担えるようになりたいです。栄養経営士を取得したことで、一人だけでなく、部門全体のチーム力を高めることが、病院や患者さんのためになる、ということを改めて意識するようになりました。広い視野を持って、後輩の良いところを伸ばせる育成方法を学び、実践していきたいです」

記念講演で壇上に立つ牛島圭太さん
SPEN2024のグランプリ受賞記念講演で壇上に立つ牛島さん