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緊急特集 令和6年能登半島地震 アンケート結果速報

「もしも」に備えて 平時から非常時の対応を考えよう

令和6年1月1日16時10分に石川県能登半島を中心に発生した地震では、家屋の倒壊や津波などにより甚大な被害がもたらされた。被災した病院や施設等の栄養部門の被害状況、およびそれにより発生した業務での困難や検討事項等について栄養経営士にアンケートを取ったので、その結果を報告する。

 

このアンケートは石川県・富山県・新潟県に在住する栄養経営士25名にアンケートを送り、期日までに返送された10名の結果をもとに作成している。ただし、もっとも被害の大きかった地域は現在もなお復興に向けて作業が進んでいる最中であり、アンケートに返信できる状況ではなかったと推察されるので、その点はあらかじめ了承いただきたい。

勤務先とライフラインの被害、機能

アンケート結果の円グラフ

回答者の勤務先については病院が7割、介護福祉施設が3割で、協会会員の構成比とほぼ同じ比率となった。

職場における震度は震度5前後が半分以上を占め、かなり激しい揺れに襲われたことがわかる。

電気・水道・ガスの被害については、水道が使えなくなったところが半数近く見受けられたが、当日または翌日には復旧している。電気・ガスについては被害はなく、水道さえ復旧すれば調理に問題はなかった施設が多かったと考えられる。

ただし、アンケートが返せなかった地区については被害が深刻であり、現在もなお断水が続いている場所があることを考えると、食事もままならない状態であったであろうことは想像に難くない。また1カ所、蒸気システムに被害があったとの報告もあったことを付け加えておく。

施設の診療・営業については、1施設を除き当日または翌日には通常通りできていると回答があった。ただし、全機能が使えていないと答えたところもあり、必ずしも万全ではなかったようである。

 

災害時マニュアルの所在と周知

気になるのは「非常時(災害時)マニュアル」について、準備していると答えたのは8名いたが、マニュアルの場所を職員全員で共有できているかの問いには1名を除き全員が「いない」と答えている点である。

マニュアルの所在を知っているのは部門長や現場責任者クラスが多いと思われるが、そうした人たちが非常時に現場にいるとは限らない。事実、今回の地震は元日に起こっており、通常時とは違うシフトで動いていたと思われる。

そんな状況で震災が発生した場合、マニュアルの運用はどうなるのだろうか。マニュアルが「つくっただけの安心材料」にならぬよう、ぜひ、運用方法を部門全体で検討していただきたい。

食料の備蓄と給食

食糧の備蓄については、使わなかったところが半数、残りも備蓄分だけでまかなえたという回答であった。備蓄量は施設の規模によりまちまちではあるが、みな「人数の3日分」で保存している。

委託給食での災害時の委託給食会社の対応については、パート職員の場合「災害時に自主的に集合するという習慣がなく、緊急時に呼び出せない」という報告があった。「スタッフが出勤できない場合にはどうするか再確認が必要と話している」という報告もあり、正規職員以外については「災害時にどう動いてもらうか」をあらかじめ決めておき、周知しておく必要がありそうだ。

困ったこと、あればよかったもの、見直した方が良いもの

困ったことは停電や振動でエレベータが使用不可になったことが多くあがった。とくに配膳は上下運動が大変で、階段で行うときはバケツリレー方式になることが多い。その場合は人出も時間もかかってしまうため、事前に取り決めをしておくと良いだろう。

あればよかったという回答には「アクションカード」が複数見られた。アクションカードとは「災害などの非常時にとるべき行動をカード化したもの」で、カードの指示通りに動くだけで、確認すべきことや、やらなければいけない事柄が遂行できる。動揺していると手順や必要な確認が頭から抜けてしまうことがあるので、こうしたものがあれば非常時でも安心して行動できるだろう。

見直した方が良いと感じたもののなかに「マニュアルはあるが中身はリストで行動については書かれていなかった」というのがあった。先ほどの「アクションカード」とあわせて整備できれば、非常時に有効的なマニュアルになるのではないだろうか。

そのほかの情報として「緊急時対応ができる業者の緊急連絡先をマニュアルに掲載しておくとよい」というのもあった。普段から連絡を取っている業者でも、緊急時にはつながらなかったり、違う番号での対応になったりすることが考えられるので、一度確認しておくことをお勧めする。

このほかの回答については、後日、詳細報告を協会のサイトに掲載予定である。サイトには2018年の北海道胆振東部地震の際に行ったアンケート結果も掲載しているので、あわせて確認し、今後の「備え」に活かして欲しい。

◎大変なときにご協力いただきました会員の皆様、本当にありがとうございました。

アクションカード