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2023年「栄養経営士」資格認定基礎講習を振り返って

次世代を担う「栄養経営士」が
新たな時代を創り出すリーダーになろう

11月18日(土)に開催した仙台会場をもって、今年の「栄養経営士」資格認定基礎講習(以下、基礎講習)が終了した。すべての会場で講師として登壇した宮澤靖代表理事に、基礎講習について話をうかがった。


宮澤靖代表理事
宮澤 靖
日本栄養経営実践協会 代表理事
東京医科大学病院 栄養管理科科長

地方ほど課題が深刻化 解決策に新しい発想を

今年は4月の東京会場からはじまり、7月に札幌、11月に仙台で基礎講習を行いました。そこで改めて感じたのは〝地域差〟です。地域によって悩みや課題が変わり、そして地方に行くほど、人材の枯渇が深刻であると実感しました。

公表されている統計情報等で給食事業者の離職率が高いことはわかっていましたが、地方ではそれに加えて高齢化も進んでおり、「この先、現状のままで5年、10年と維持できるのか?」という不安は相当で、現場の創意工夫には壮絶なものがあると知りました。

また、単に厨房の人材が足りないというだけではありません。給食システムの変更には莫大な費用がかかり、時間も手間もかかるため、どこの病院でも簡単にはできません。ならばセントラルキッチンでと考えても、雪深い地方であれば、豪雪による経路の分断など地域ならではの流通の問題もあります。一筋縄ではいかない課題ばかりです。

よく講義では「今できているから、その間に次の一手を」と話すのですが、今や「次の、次の一手」を考えなければならない時代になったのかもしれません。新しい発想でイノベーションを起こし、自治体をも巻き込むような解決策を見出していかなければならないのではないか。そのくらいの切実さと深刻さを痛感した年でした。

連綿と続く悩みは栄養経営士が変えていこう

先ほどの感想とは別に、参加者の悩みや課題を聞き、大変残念に思ったことがあります。それは、「昔からあるお悩みの内容が今なお変わっていないこと」です。

管理職のビジョンや方向性、先見性がないために、希望が持てず若くて優秀な人材が辞めていく。この昔からのお悩みが、今も変わっていないのです。それはつまり、栄養部門の運営や人材の適材適所などのマネジメント能力が、何十年経ってもまったく変わっていないということです。

そうした悪しき伝統を断ち切るべく、部門をハンドリングしていくのが「栄養経営士」の役割です。

今の管理職から引き継ぐ次世代の栄養経営士たちが新たなイノベーションを起こし、身に着けたマネジメント能力で新しい組織、新しい時代を創り上げていく。同じ問題をくり返さないためにも、ぜひ奮起して改革を進め、若い管理栄養士が希望を持てるような職場にしてください。そのための助力は、協会として惜しまず提供いたします。

悩んでいる人こそ基礎講習に来て欲しい

コロナ後はオンラインのセミナー開催が増え、移動や場所の制限がなくなり、大変参加しやすくなりました。しかし、会場参加での熱気や濃密なコミュニケ―ションは貴重な経験であり、参加者同士ネットワークを広げられる場でもあります。ぜひ会場で、直接顔をあわせて受講していただければと思います。

そして、今の栄養部門はさまざまな課題を抱え、悩んでいる人が増えています。課題の答えが見つからない人は、ぜひ基礎講習に参加してください。ここですべての答えが与えられるわけではありませんが、解決の糸口を掴むきっかけにはなるはずです。

また、すでに会員の人も、再度参加して「あのときの熱い気持ち」を思い出してください。栄養部門の仕事は日常に埋没しやすいため、初めての基礎講習で湧きたった闘志も年月とともに消えかかっているかもしれません。どうぞもう一度、あなたの闘志に火をつけに来てください。

そして、基礎講習に参加したあとは、認定試験を受けてぜひ「栄養経営士」になってください。各地域で行われている支部会のほか、毎月開催している理事の先生方に直接相談できるオンラインサロン、年に一度開催し、全国の仲間と交流できる「栄養経営士のつどい」など、協会ではいろいろなインプット・アウトプットの場を設けています。

一人でも多くの栄養経営士とともに、栄養の未来を変える力になればと思います。ぜひ、一緒にがんばりましょう。